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「学びのSTEAM化」って何だ?

最新の学習指導要領で、小学生の「プログラミング教育」や高校生の「情報Ⅰ」、小中高校生の「探求学習」が必修化されたのをご存知の方も多いと思います。
では、必修化された理由についてはいかがでしょうか?
今の親世代が育った時代と子ども世代との違いを知っていただくために、教育の変化やこれから必要となる学びについてご紹介します。
前半は難しい表現が続くので「へー、そうなんだ」と軽く読み進める程度でいいですよ。

目次

1.子どもたちが生きる社会
  =Society 5.0(ソサエティ5.0)

私たちの社会は、以下のように移り変わっています。

・狩猟社会(Society 1.0):人が狩りをして生活する社会
・農耕社会(Society 2.0):田畑を耕すなど食糧を育てて収穫することで安定した生活をする社会
・工業社会(Society 3.0):機械によって規格品を大量生産するなど工業化が進んだ社会
・情報社会(Society 4.0):インターネットの普及により情報の伝達や処理が経済の中心となった社会 ←イマココ
・超スマート社会(Society 5.0):仮想空間と現実社会を高度に融合したシステムで発展する社会 ←コレカラ

社会のあり方の移り変わりの説明
・狩猟社会(Society1.0):人が狩りをして生活する社会
・農耕社会(Society2.0):田畑を耕すなど食糧を育てて収穫することで安定した生活をする社会
・工業社会(Society3.0):機械によって規格品を大量生産するなど工業化が進んだ社会
・情報社会(Society4.0):インターネットの普及により情報の伝達や処理が経済の中心となった社会
・超スマート社会(Society5.0):仮想空間と現実社会を高度に融合したシステムで発展する社会

私たち現役世代(昭和後期~平成初期生まれ)が子ども時代を過ごしたのはSociety 3.0でした。この時代は「個」よりも「集団」が優先される社会であり、指示されたとおりに生産し、売る人材が求められたのです。
だから学校でも、まるで工業製品を作るかのような教育が行われていました。
知識を詰め込み、間違えないように出力する。考えることよりも覚えることの方が重視される教育です。

一方、今の子どもたちはSociety 4.0を経て、Society 5.0を生きていきます

Societyの5.0で実現できること

Society 5.0とは、簡単にいうと現実空間と仮想空間が一体となり、さまざまな社会問題の解決と経済発展を実現する社会のことです。現実空間の情報がセンサーやIoT機器を通じて仮想空間に集積され、このビッグデータをAIが解析。現実空間に還元していく仕組みになります。
IoT機器によってすべての人とモノが接続され、あらゆる知識や情報が共有化。そしてAIの活用などによって、必要なときに欲しい情報が提供されるようになります。
また、ドローンや自動走行車、あるいはロボットなどの技術革新を通じて、深刻化する人手不足を解消するとともに、幅広いニーズに対応する暮らしやすい社会を実現します。
引用元:NikkenTotalSourcing 「Society 5.0 とは?社会課題と経済発展を解決する超スマート社会への取組事例」 
https://www.nikken-totalsourcing.jp/business/tsunagu/column/987/

んー、簡単にいわれてないですね(汗)
内閣府では以下のように定義されています。

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
引用元:内閣府 「Society 5.0」 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

Society5.0は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会である

つまり、国家の求める人材がSociety 3.0とは大きく異なるよということです。
労働人口が減少するため、少ない人数で社会を動かす必要があるわけです。
手に入れた知識を組み合わせて新たな価値を生み出すことのできる人材を育て、経済発展と社会的課題の解決を両立していける社会を目指しています。

Society5.0では、手に入れた知識を組み合わせて新たな価値を生み出すことのできる人材を育て、経済発展と社会的課題の解決を両立していける社会を目指している

「プログラミング」「情報」が必修化されたのは、Society 5.0においてビッグデータやAI、ICTの活用が欠かせないという背景があることがおわかりいただけたでしょうか。

2.子どもたちに必要な学び
  =STEAM(スティーム)教育

Society 5.0では知識を得ることそのものを目的にするのではなく、知識をどう活用し、よりよい社会をつくっていくかに主軸をおくべきという方向性です。そのために学校教育から変えようとしています。

(文部科学省の)報告書では、このSociety 5.0時代という高度なデジタル社会の中で、人間がその強みを発揮しAI等を使いこなしていくためには「文章や情報を正確に読み解き対話する力」や「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力」が共通して求められるとしている。

その上で、これらの力を育むためにも、学校がこれまで行ってきた「一斉一律の授業」のみならず個人の進度や能力等に応じた学びの場となること、そして同一学年集団の学習に加えて異年齢・異学年集団での協働学習が拡大していくことなど、「学びの在り方の変革」を打ち出している。
引用元:STEAM Japan 「STEAM教育ってなに?ワクワクを軸にした次世代の“学び”を解説【保存版】 https://steam-japan.com/practice/891/

文部科学省だけでなく、経済産業省でも「知る」と「創る」をぐるぐると回していくことで、子ども達一人ひとりの“ワクワク”を醸成し高めていく「未来の教室」を提言しました。

文部科学省だけでなく、経済産業省でも「知る」と「創る」をぐるぐると回していくことで、子ども達一人ひとりの“ワクワク”を醸成し高めていく「未来の教室」を提言している

「より良い社会を創るには『ワクワク』『ドキドキ』できる学びがいいよね!」というのが令和の教育、Society 5.0の教育なのです。

そこで、キーワードとなるのがSTEAM教育
知識やスキルの習得そのものではなく、子ども達一人ひとりの「創造性」を育むという観点で非常に重要なアプローチとなるものです。
STEAM教育は、5つの科目の頭文字から名付けられました。
・S(Science):科学
・T(Technology):技術
・E(Engineering):工学
・A(Art):芸術や教養
・M(Mathematics):数学
もともとはSTEM教育だったのですが、後にArtが加えられました。
Artがあることによって科学技術がとっつきやすくなるということ、Artというのは人の創造性の源であり、そこからイノベーションが起きるということが理由です。

算数や理科といった単一の科目ではなく、科目の壁を越えて学ぶのがSTEAM教育です。
STEAM教育に正解はありません。「どうして?」と問いを立てて「どうなってるの?」と調べたり「こうしたらどうなるかな?」と工夫したりしながら答えを探っていきます。
自分の「どうして?」が社会の課題解決とつながっていることによって「学ぶ意味」がわかるようになるのも特徴です。この知識を学ぶことにはどんな意味があるんだろうという疑問に対して子ども自身が探求の中で納得できるように学んでいきます

教材は何でもよくて、材料を変えてシャボン玉を作ってみるとか、ゼラチンと寒天の固まり方の違いを比べるとか、家庭内でできることもたくさんあります。
「好奇心」と「楽しむ気持ち」さえあれば、STEAM教育にも探求学習にもなり得るのです

例えば、アメリカのプリスクールには、シャーベットをテーマにした4歳児向けのブログラムがあるそうです。

ジュースを凍らせてシャーベットを作る(科学)だけではなく、自分たちでデザインしたお店を作り(アート)、オリジナルの貨幣を作ってお客さんにシャーベットを売ります(算数)
シャーベットという一つのテーマに科学、アート、そして算数の知識をフル活用するのです。そして、この一連の流れの中で、子どもたちは多くの課題と向き合うことでしょう。

このように、STEAM教育は物事をさまざまな面から捉えることで課題を見つけ、自らの力で解決し、新しい価値を創造する力を養うことができるのです。
引用元:STEAM Japan 「全ての子どもたちに“ワクワク”した未来を! いまだから知ってほしいSTEAM教育の可能性。」 https://note.com/steam_inoue/n/ndaea6504db42

一つの題材から食料や流通、健康などの問題に結び付けられるのがSTEAM教育のおもしろいところです。

私見

経済界と教育界は密接に結びついています。
経済を回すための人材を育成するのが公教育であり、うがった見方をすれば「”経済界にとって都合のいい人材” を輩出する」ために指導要領が約10年おきに改訂されているとも言えます。
これからの社会において ”都合のいい人材” とは、単に知識量が多いとかペーパーテストで高得点を取るとかではありません。知識を基に創造性を発揮し、新たな価値を生み出すことのできる人材です。

「こういうテクノロジーがあったらいいのに」と想像する人
「新しいテクノロジーできましたよ」と創造する人
「このテクノロジーで△△ができちゃうんじゃない?」と工夫・実践する人

そんな人たちが手を組んで【経済発展】と【社会的な課題の解決】を目指すのがSociety 5.0。しかし、学校現場では「教科学習」「プログラミング」「情報」「探求」といった【手段】に追われるばかりで「ワクワクを醸成する」という【目的】が忘れられがちです。目的が現場まで下りていない可能性すらあります。
目指すイメージを共有することができた時、きっとこの国は変わります。
学びのSTEAM化で、経済界の思惑を超えて ”ワクワクする未来を描ける人材” が育つことを願っています。

<参考>
・STEAM Japan https://steam-japan.com/
・内閣府 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
・NikkenTotalSourcing https://www.nikken-totalsourcing.jp/business/tsunagu/column/987/
・KDDI まとめてオフィス https://www.kddimatomete.com/magazine/221226142824/
・くもん出版 https://note.com/kumon_publishing/n/nc7eb7175cdd8

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